誰にも伝わらないけど大人になった

最近ですが、すごく個人的に印象的な出来事がありました。たぶん本当に誰にも伝わらないのですが思い出のためにここに書き記しておきます。

 

高校生の頃でした。制服着て毎朝電車通勤をしていたのですが、その時に気がついたのです。「駅のエスカレーターの天井の上にとんぼがいるな」と…。ホントにただそれだけのことです。よくある風景です。

 

しかし、何日たっても天井についてるんですよね。たぶん死んでて天井に足かなんかひっかかってるんでしょう。エスカレーターある場所だから天井めちゃ高いんですよね。たぶん世の中で自分しか気がついてない。誰にいうわけでもなくてね。いつのまにか毎日チラッと確認していました。

 

晴れの日も雪の日も受験のときも浪人時代も、大学入ってからも社会人になっても毎日会う。そのうち心のなかで挨拶とかをしていました。おっ、今日もいるねと。とにかく天井に居続ける。人間じゃ届かない場所なんですよ。きっとずっと居続けるんだろうなと思いって、なんていうんだろ、あのトンボを見たときは学生時代に戻れたような気がしてたのです。

 

実家を離れて関東やヨーロッパで働いたり、マンションに引越ししても最寄り駅には居続けて「ただいまー」と言っていたんですが、さっき久しぶりに駅を利用したら、居なくなってました。。。完全にただの天井になってました。一匹だけいたトンボが消えた…。

いや、常識で考えればトンボの足を構成するトゲトゲや関節が空気や日光で経年劣化してポトッって落ちて知らない間に人に踏みぶされたんだろうなと思う。もしかしたら大掃除して高圧洗浄かなんかしたのかもしれない。とにかくもうない。と、その時にぶわっと、もうあの頃とは違うんだと改めて気が付きました。制服を着てネクタイを少し崩して安い整髪料をつけて友達と談笑しながら通学してた頃には戻れないんだと。そんなことを一人で思った冬の夜でした。

 

でも年末年始は実家でスーパーファミコンタクティクスオウガをしてたので高校生のときと何も変わらなかったです。